作手野外センターで観察した水生生物 2008.7.30
ヒゲナガカワトビケラ(ヒゲナガカワトビケラ科)

 水質階級T「きれいな水」の指標生物です。この虫が多く観察される場所は環境の安定した川なのだそうです。
 口からはいた糸を使って小石を綴り合わせて、大きな石の裏側などに巣を作っています。野外センターの小川にいる水生昆虫としては大きな仲間です。
 この仲間は、日本には3種類がいるそうですが、多くはヒゲナガカワトビケラだそうです。網を張って上流から流れてきたものを食べています。長野県伊那地方の天竜川水系では、これを「ざざ虫」といって食用にするそうです。
ヨツメトビケラ(フトヒゲトビケラ科)

 砂粒で円筒状の巣を作り、石の裏にしっかりとついています。成虫のオスは、黒色の4枚の翅に1つずつ、大きな白色または黄色紋を持つ美しいトビケラです。
 山地の渓流付近のまわりにすんでいます。
ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

 水質階級T「きれいな水」の指標生物です。
 前種と同様に、野外センターの小川にいる水生昆虫としては大きな仲間に入ります。日本には8種ほどが知られていますが、本州では3種程です。成虫はしばしば炊事棟の電灯などに飛んできています。
 
カワゲラの1種(カワゲラ科)

 水質階級T「きれいな水」の指標生物です。
 石の裏側などをはい回って、生活をしています。
 カワゲラの仲間は、大小いろいろな種類がいますが、中にはまだ詳しいことがわかっていない種も多くあります。
○撮影:吉田綾子教諭

ヒラタカゲロウの1種(カゲロウ科)

 水質階級T「きれいな水」の指標生物です。
 この虫も石の裏側などをはい回って、生活をしていますが、先のカワゲラよりも動きが速いです。青木舜先生のお話では、この日はナミヒラタカゲロウとユミモンヒラタカゲロウの2種が見つかったとのことでした。
 他にもしっぽが3本あるカゲロウの仲間も、たくさんみつかりました。
ムカシトンボ(ムカシトンボ科)

 幼虫期間が長く、ヤゴの姿で数年生活をすると言われています。写真に写っている大きな個体は、終令幼虫であると考えられます。作手の野外センターのあるような山地の源流部に近い場所で見られる場合が多いです。幼虫は石の裏側などに張り付いていますが、成虫はとても早く飛び、人目に付く機会が少ないです。
 この仲間は、日本とヒマラヤにだけにいて、かつて大陸がつながっていたことを示す証拠とされています。また、中生代ジュラ紀のころから、ほとんど姿が変わっていないことから、「生きた化石」として扱われる生き物でもあります。○撮影:吉田綾子教諭
パンダようなツートンの小さな幼虫もいます。
 
シマヨシノボリ(ハゼ科)

 淡水に生息するハゼの仲間です。よく似た種類が多いので分類が難しいのですが、青木舜先生のお話では「ヨシノボリ」とのことでした。
 水生生物調査の行われたH20年8月30日には、この魚のものと思われる卵が石の裏に産み付けられていました。
ナミウズムシ(サンカクアタマウズムシ科)

 水質階級T(きれいな水)の指標生物とされています。別名をプラナリアといいます。標高の低い地域では小さく、高い地域では大きくなるようで、野外センターでも3cm近い大きな個体が見られました。
 青木舜先生のお話では、サワガニの死がいを入れたビールの缶を川の中に沈めておくと、すぐに集まってくるそうです。
 一見するとヒルに似ていますが、頭が三角形であることに加えて目があることで簡単に区別できます。(カーソルを写真の上にもってくると、頭部のアップが出ます。)
○撮影:吉田綾子教諭
カワニナ(カワニナ科)

 水質階級U「すこしきたない水」の指標生物です。
 淡水の巻き貝です。この仲間は卵ではなく、メスが卵を体の中で育てて、直接小さな子どもの貝を産みます。ゲンジボタルの幼虫時代のエサとしてとても有名です。野外センターの敷地内にもゲンジボタルが生息しています。
○撮影:吉田綾子教諭 
サワガニ(サワガニ科)

 水質階級T「きれいな水」の指標生物です。
 野外センターの中の小川や周りのスギ・ヒノキの植林地にたくさん住んでいます。すぐ左に見えるのは、シマトビケラの仲間の幼虫です。
○撮影:吉田綾子教諭 


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