単行本出版時の 下宿での南吉

 生前の彼の数少ない単行本の一つである『良寛物語−手鞠と鉢の子』(昭和16年) は好評で、まとまったお金になりました。大家さんにもそのおすそわけがあったようで す。

 初の童話集『おじいさんのランプ』(昭和17年)出版前には、万座温泉(群馬県) へ小説『都築弥厚伝』(未完)の執筆のために旅行しています。

 旅先で偶然見つけた灯油ランプを持ち帰り、一つは大家さんへのお土産としたそうです。もう一つは、自室で 愛用していたようです