百姓家の詩


『百姓家』の全文を紹介します。
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詩『百姓家』(新美南吉・昭和17年10月作)について

 写真の石像と詩碑は、本校の中庭に建てられたものです。平成4年度東海三県学校図書館奨励賞−文部大臣賞−の受賞を記念して、当時のPTAから贈られたものです。

 童話作家新美南吉は、昭和13年から当時の県立安城高等女学校に英語の教師として勤めていました。翌14年からは、現在の安城市新田町出郷に下宿(大見様方)し、教育と創作活動とに情熱を傾けていました。

 戦前の安城市は、広大な碧海台地を基盤にした先進的な農業地域でした。稲作と養鶏・養豚・酪農等を連携させた「多角形農業」を推進し、「日本デンマーク」として全国から注目を集めていました。本校の学区である新田町(当時の安城町出郷)は、その中核となる集落でした。

 南吉が下宿したころの出郷は、「日本デンマーク」の情熱がまだ残っていた頃に当たります。南吉は、近所の農家からもれてくるハモニカの音に耳を傾けながら、やんちゃ坊主のほのかな幸福を作品世界に描いています。やんちゃ坊主がご健在ならば、本校の児童のおじいさんにあたる方かも知れません(目下、調査中です)。

 なお、『百姓家』が作られた昭和17年10月には、南吉初の童話集「おじいさんのランプ」が出版されています。その時の南吉の喜びようは、下宿先の大見家では、現在でも語り草となっているそうです。