喧嘩に負けて

 喧嘩に負けてとぼとぼと
 帰る悲しい砂の丘 
 怒った後の淋しさは
 長あい細い影までが
 しくしく泣いているような

 あいつの怒ったあの顔が
 目先にちらちら浮いて出て
 あいつにはられた両頬が
 冷たい風にちかちかと

 あいつがあいつが悪いのだ
 とぼとぼ帰る夕空を
 小鳥が一羽ちいちいと
 淋しい悲しい啼声で

 喧嘩に負けてとぼとぼと
 帰る悲しい砂の丘 
 怒った後の淋しさは
 長あい細い影までが
 しくしく泣いている様な
6月12日(木)

5年南吉の詩群読
「喧嘩に負けて」の群読発表しました